FXは外国の為替通貨を売買し、その差益によって利益を狙う金融商品です。

FX取引市場は年々広がってきており、今は誰でも簡単に始められるようになってきました。しかし、FXで継続して利益を伸ばしていくことは簡単ではなく、FXに対する正しい知識と豊富な経験が求められます。

その中でも、レバレッジについて正しい知識をもっておくことが、FXで成功を収めるカギとなるでしょう。

FXにおけるレバレッジ

FXは、株式投資と比べて初心者でも取り組みやすいと言われています。その理由の一つに、レバレッジがあります。

FXは資金の少ない人でも、レバレッジを利かせてプロの投資家と同じようにトレードができる金融商品です。簡単に言えば、レバレッジを利かせることで大きな金額を動かして取り引きができるということです。

このレバレッジを有効に活用することにより、手持ちの資金の少ない人でも十分に利益が狙えるチャンスが生まれます。

このようにレバレッジはとても魅力的な反面、高く設定しすぎると損失が大きくなり、最悪の場合ロスカットを食らうリスクも含んでいます。

今回は、FXで利益を出し続けていくための適切なレバレッジについて説明していきましょう。

そもそもレバレッジとは何か

そもそもレバレッジとは何か
そもそもレバレッジとは何でしょう。前述した通り、手持ちの資金の少ない人でもレバレッジを利かせることで大きな金額を動かして取り引きができます。

このレバレッジとは、担保となる保証金の何倍もの金額を取り引きすることができる仕組みのことです。

分かりやすく言うと、10万円の保証金でレバレッジを10倍に設定すれば、100万円分の取り引きができるということになります。

もちろん、レバレッジを調整することで取引金額をさらに大きくしたり、逆に小さくしたりといったことが可能です。

このレバレッジの仕組みのおかげで誰でも利益を得られるチャンスがあり、投資初心者や主婦の人でも気軽に取り引きができるという点で人気を集めています。

てこの原理

レバレッジは、よく「てこの原理」に例えられます。てこを使えば弱い力でも重たいものを動かすことができます。

FXもこの原理と似ていて、少ない資金でもレバレッジを利かせることにより、保証金の数倍~数十倍もの大きな金額で取り引きをすることが可能です。

このレバレッジは株式投資と比較しても大変魅力的な仕組みであり、FXがここ数年で急速に成長してきた大きな要因の一つです。

レバレッジを正しく活用することで、プロの投資家とも同じ土俵で取り引きに参加することができます。

自分でレバレッジを調整できる

金融庁やFX取引会社ごとの定める規定により、レバレッジは自分で調整ができます。

基本的にレバレッジは1~25倍の範囲で調整ができます。自分の手持ちの資産や取引スタイルに合わせて調整することが大切です。

FXの経験が浅い人や初心者の人であれば、最初はレバレッジを10倍程度に設定して取り引きするのが安全と言われています。

また、取り引きの種類ごとにレバレッジを正しく設定することも重要です。短期取引ではレバレッジを高くして大きな利益を狙い、中長期取引では逆にレバレッジを低くして多少の為替変動に耐えられるようにします。

このようにレバレッジの調整は効率よく利益を伸ばしたり、リスク管理を徹底したりする上でとても重要です。

レバレッジのかけ方①~スキャルピング~

レバレッジのかけ方①~スキャルピング~
それでは取り引きごとのレバレッジのかけ方について、具体的に説明していきます。

まずスキャルピングでは、数秒~数分で取り引きを終わらせるため、レバレッジを大きめに設定します。短期取引ではわずかな値動きで勝負が決まるので、このようにレバレッジを大きくするのです。

資金の少ない人でも少ない保証金で大きな金額を動かせるため、スキャルピングはまさにレバレッジの恩恵を最大限に受けられます。

ただし、レバレッジを大きくすることは同時にリスクも大きくなるため、損切りラインやロスカットラインを良く把握した上で取り引きを行うことが大切です。

加えて、自分の総資産をしっかりと把握し、余裕資金で取り引きを行うこともリスク管理上大切となります。

基本は20~25倍

スキャルピングでは、基本的にレバレッジを20~25倍にして取り引きを行います。

スキャルピングは数秒~数分で取り引きを終わらせる短期集中の取り引きなので、レバレッジを最大限高く設定します。利益幅としては小さく、レバレッジが低いと効率が悪いです。一度に売買する通貨の枚数も多く設定し、その分損切り幅も狭くします。

初心者の人はレバレッジを高くすることに抵抗を感じるかもしれませんが、為替レートがどれだけ動いてどれだけ利益・損失が増えるかを正しく理解していれば、それほど恐れる必要はありません。

いきなり最大の25倍にすることに不安を感じる人は、20倍で始めるのがおすすめです。

いずれにしても、何度か取り引きをしているうちに要領がつかめてくるので、難しく考えずにまずは取り引きをしてみましょう。

一度に取引する枚数も多くする

前項でも述べましたが、スキャルピングではレバレッジを最大限に利かせるのと同時に、一度に取り引きする通貨の枚数も多くします。利幅が極めて小さいので、その分枚数を多くしないと利益がのらないからです。

もちろん、損切り幅も狭く設定する必要があります。損切りがなかなかできないと、あっという間に損失が拡大してしまい、大きなダメージをとなってしまいます。

最初に設定した損切りルールは必ず守るようにしましょう。損切りを徹底することで、利益が得られるチャンスが生まれます。

レバレッジのかけ方②~デイトレード~

レバレッジのかけ方②~デイトレード~
デイトレードは、取引時間でいうとおよそ数分から数時間の短期取引です。スキャルピングより少し取引時間が長くなります。その分、レバレッジもスキャルピングより若干低く設定します。

短期取引なので、基本的な戦略はスキャルピングとあまり変わりません。スキャルピングと異なる点としては、利確幅と損切りラインが若干広がることです。

レバレッジを少し低くした分損切りにも少し余裕がもてますが、油断するとあっという間に損失が膨らむので、損切りルールは徹底しましょう。

うまく利益が伸びてきて長い時間足でもトレンドが発生すれば、スイングトレードへの移行も可能であり、より戦略性が求められる取り引きでもあります。

10~20倍が適正

デイトレードの場合、基本的にレバレッジは10~20倍に設定することが多いです。短期取引ではあるものの、スキャルピングより少し長めの取引時間となることから、10~20倍が適正範囲と言えます。

ここでは2通りの考え方があり、完全にデイトレードに絞って取り引きをするのであれば、レバレッジは20倍に設定し、利確も損切りも早めに行います。

一方でスイングトレードへの移行も視野に入れた取り引きの場合、レバレッジは10倍に設定して、利確と損切りに多少ゆとりをもたせましょう。

このように、デイトレードでは戦略によってレバレッジを調整することも必要であり、それがデイトレードの面白さの一つでもあります。

展開次第でスイングトレードに移行できる

前項でも説明した通り、デイトレードではその後の展開次第でスイングトレードに移行させることができます。

スイングトレードへの移行の条件としては、順調に利益が伸びていて長い時間足で大きなトレンドの発生が確認できた場合に限ります。こういった場合はさらに利益が伸びる可能性が十分にあるので、スイングトレードへの移行を図ります。

ここで気を付けることは、含み益の上昇に応じて損切りラインを段階的に上げることです。「まだ上がる」と思っていても、そのトレンドはいつか必ず終わります。

せっかく膨らんだ含み益を逃さないためにも、損切りラインを段階的に上げ、「ここまで下がったら欲張らずに利確する」という意識がとても大切です。

レバレッジのかけ方③~スイングトレード~

レバレッジのかけ方③~スイングトレード~
次は、スイングトレードにおけるレバレッジのかけ方について説明します。

スイングトレードとは、取引時間でいうと数日~数週間の取り引きとなります。短期取引ではあるものの、スキャルピングやデイトレードと比べると取引時間が長くなるため、その分レバレッジはさらに低くすることが多いです。

一度仕掛けた後はしばらく保有し続けるため、1日に数回為替レートをチェックするだけでよく、普段仕事で忙しい人にも向いています。

また前項でも触れた通り、デイトレードから大きなトレンドが発生した時に、スイングトレードに移行させることも可能です。

また、スキャルピングやデイトレードに比べてレバレッジを低く抑えるため、ある程度の資金が必要となります。

レバレッジは10倍程度

スイングトレードでは、レバレッジは基本的に10倍前後に設定します。スイングトレードは短期取引の中でもある程度の期間保有することを前提としているので、多少の為替変動に耐えられるようレバレッジを10倍程度に設定します。

スキャルピングやデイトレードと同じ感覚で取り引きをしてしまうと、損失が膨らんですぐにロスカットされるケースも少なくありません。

レバレッジ10倍となると、ある程度の資金が必要となります。スイングトレードはある程度FXに慣れてきて、資金も貯まってから取り組む方がよいでしょう。

また、スイングトレードも中期での大きなトレンドが発生した時に、中期保有に移行させることができます。うまくトレンドの波にのれれば、さらに大きな利益が期待できます。

資産に余裕があれば5倍でも

スイングトレードのレバレッジは基本的に10倍程度ですが、資産に余裕のある人であれば、場合によってレバレッジを5倍程度に設定して取り引きすることもできます。

レバレッジ5倍だと中長期保有に近い形となり、普段為替レートをなかなか見ることができない人でも取り組めます。中長期で保有しながらスワップ金利をもらいつつ、為替の変動によっては利確して差益を得るといった戦略も可能です。

短期的な為替の変動は読みにくいですが、中長期の動きならファンダメンタルズ分析を参考にある程度予測がたてられるので、リスクも低くおすすめです。

日々の為替変動に惑わされたくないという人は、レバレッジ5倍でのスイングトレードを試してみるとよいでしょう。

レバレッジのかけ方④~中長期保有~

レバレッジのかけ方④~中長期保有~
中長期保有では、レバレッジは極力低く設定することをおすすめします。なぜかというと、中期保有はおよそ数か月~数年にかけて保有し続けるので、レバレッジが高いとすぐにロスカットされてしまうからです。

レバレッジを低く設定すればロスカットにかかりにくくなり、気持ちにも余裕がもてます。中長期保有では為替レートを毎日見る必要はなく、2週間~1か月に1度の確認程度でよいでしょう。

特に長期保有の場合はレバレッジを1倍に設定し、銀行預金のような感覚で長期間保有し続けることになります。「短期取引で毎日取り引きは難しい」「気持ちに余裕をもって過ごしたい」という人には、中長期の取り引きが向いていると言えます。

ただし、余裕資金がかなり必要となる点については注意が必要です。

中期保有はレバレッジ5倍程度で

中期保有の場合、レバレッジは5倍程度がよいでしょう。中期保有は数か月~1年程度保有することが多いので、期間的にも5倍程度が丁度よいと言えます。

レバレッジ5倍であれば、1年間でのおよその変動幅にも十分耐えられますし、資産的にもそれほど莫大な資産を必要とするわけではないので、数百万円の資金があれば取り引きは可能です。

これまで何度も述べた通り、中期保有は毎日為替レートを見る必要がない点が、短期取引と比べて大きなメリットです。また、1年が経過して含み益が出た場合、まだ利益が伸びそうであれば長期保有に移行させることもできます。

このように中期保有は、レバレッジ5倍で保有ができ、長期保有への移行ができるという2つの点で魅力があります。

長期保有は1倍でも

長期保有は、数年以上為替通貨を保有し続けることになります。長ければ10年近く保有する場合もあるかもしれません。

このことを踏まえ、レバレッジは最低の1倍にします。つまり、自分の保証金でそのまま為替通貨を売買することになります。その分莫大な資産が必要ですが、銀行預金と同じ感覚でスワップ金利を毎日もらうことができます。

日々の為替レートの動きは全く気にする必要がなく、ニュースで為替レートの動向をたまに聞いておく程度でよいので、ストレスをほとんど感じない点が長期保有の最大のメリットです。

ただし、数年間保有している間は、保証金は引き出すことができません。

レバレッジ1倍ということで、数ある取り引きの中でも一番多くの資金を必要とします。基本的に長期保有は資金に余裕のある人が取り組む手法です。

日常生活を営むための余裕資金はしっかりと確保しておくことが大切です。あくまで余裕資金の範囲で、長期保有をすることをおすすめします。

レバレッジの注意点

レバレッジの注意点
これまでに説明した通り、FX取引ではレバレッジをかけることで保証金の数倍の金額を動かして取り引きができます。

レバレッジは適正な範囲で運用できればとても魅力的な反面、必要以上に大きく設定するとその分リスクも高くなります。

自分の資金やどういった取り引きで臨むかをよく考え、適正範囲でレバレッジを設定することがとても大切です。加えて、一度に売買する通貨の枚数や利確・損切りラインの設定など、戦略を十分に練って取り引きに臨む姿勢が成功への近道となります。

特に初心者の人は、レバレッジを適正な範囲で設定することがとても大切です。最初は低レバレッジで取り引きを行い、取り引きに慣れてきたら徐々にレバレッジを高くして取り引きしていくとよいでしょう。

レバレッジを高くするほどリスクも増える

すでにご存じかもしれませんが、レバレッジは高くすればするほど大きな金額で取り引きができます。しかしその反面、ロスカットまでの幅が狭くなり、予想と反対の方向に為替が動くと危険です。

初心者であれば、最初は必ずレバレッジを低くして取り引きを行いましょう。

最初はスイングトレードが一番取り組みやすいと言えます。スイングトレードで、レバレッジに対するロスカットラインがどこであるかをしっかりと確認する習慣をつけることが大切です。

スキャルピングやデイトレードは基本レバレッジを高くして取り引きを行うので、取引自体に慣れてきた頃に検討するのがおすすめです。

いずれにしろ、取り引きごとのレバレッジの適正範囲をしっかりと守って取り引きを行うことが、結果的に自分の資産を増やすことに繋がっていきます。

損切り(ストップロス)を徹底すること

前項で述べた通り、レバレッジを適正範囲に抑えて取り引きを行うことはとても重要です。加えて損切りを徹底することも重要です。

FX初心者や経験が浅い人は、どうしても損切りができない傾向にあります。損切りは被害を最小限に食い止めるための最後の砦であり、損切りをきっちりできている人は、結果的に利益を伸ばしていけるのです。

損切りはどうしても消極的なイメージがありますが、次の取り引きの機会へ繋げるための攻めの姿勢でもあります。損切りができることは、FXで利益を伸ばしていくための必須条件です。

FXで成功したいという人は、「レバレッジを適正範囲に抑えること」と「損切りを徹底して行うこと」この2点を意識して取り引きに臨みましょう。

まとめ

①レバレッジとは、担保となる保証金の何倍もの金額を取り引きすることができる仕組みのこと
②スキャルピングでは、最大の25倍のレバレッジをかけて取り引きを行う
③デイトレードでは、レバレッジは10~20倍に設定する
④スイングトレードでは、レバレッジは10倍前後に設定する
⑤中長期保有の場合、レバレッジは極力低く設定し、1~5倍とするのが一般的
⑥初心者の方は特にレバレッジを適正な範囲で設定することが大切。損切りも徹底して行う