近年では、「マネーリテラシーが低調」と言われる日本においても資産運用が密かなブームになっています。資産運用といっても様々なケースがありますが、初心者になじみやすく、リスクとリターンをコントロールしやすい手法がFXです。

そこでこの記事では、初心者がFXを失敗しないための重要なチャート指標である「時間足(ロウソク足)に焦点をあてて解説していきます。

この時間足を理解することでFXの勝率が格段に向上しますので、FXをやってみたいと思っている人は参考にしてください。

FXとは?

FXとは?
FXとは、Foreign Exchange(外国為替)の略語です。簡潔に言うと、それぞれの国同士が発行する通貨を交換することです。

当然ながら、各国の通貨の価値はその国の置かれた立場や経済状況によって変化します。それを受けて、それぞれの国の通貨の交換比率に関しては常に変動しています。

これらの変動を予想して、安く購入して高く売却すれば利益になるということです。反対の場合は必然的に損失になります。

このFXには様々な種類や形態等がありますが、最も一般的なのは米国ドルと日本円との通貨ペアでのFXとなります。

他の通貨ペア(例えばトルコリラとユーロ)でももちろん取り引きは可能ですが、初心者では予想が大変難しいです。したがって、米国ドル/日本円から初めてみることをおすすめします。

FXチャートについて

FXチャートについて
通貨ペアが決まったら、いよいよFXに挑戦してみましょう。ただし、初心者が闇雲にトレードするのは危険です。

闇雲にトレードすることは、ギャンブルとなんら違いはありませんし、そもそもギャンブルで利益を上げられる人は本当に一握りの特殊な人間だけです。

FXを「堅実な資産運用」にするのか「ギャンブル」にするかは、根拠を持ってトレードできているのかどうかが別れ道となります。

FXを根拠に基づいてトレードする方法には、「テクニカル分析」と「ファンダメンタル分析」がありますが、ここでは初心者であってもある程度の再現性が期待できるテクニカル分析をおすすめします。

このテクニカル分析とは、チャートの形状をテクニカルに分析したり読み解いたりしながらトレードする方法です。

代表的な用語や指標等

テクニカル分析で必須となるFXチャートには様々な用語や指標が存在しますので、その中でも代表的なものを紹介します。

ここで触れる用語や指標について理解することは、勝率アップにつながるので押さえておきましょう。

「利確」と「損切り」について

買いポジションを持っていた場合、そのポジションを解消して売却する際に、その売却金額が購入時よりも高ければ利益が得られるので、利確(利益確定の略)になります。反対に低ければ損をすることになるので、損切りとなります。

売りポジションを持っていた場合は、その買い戻し金額が売却時よりも低ければ利益が得られますので利確になります。反対に高ければ損することになるので損切りとなります。

いずれにせよ、利確は望ましい状態であり、損切りは避けたい状態です。

「ASK」と「BID」について

スマホのFX画面などでこの表示を見る人も多いでしょう。

ASKとは、買い値を意味するため、その通貨を購入する時に「ASK」のボタンをタップします。

BIDとは、売り値を意味し、買いポジションを解消して、利確・損切りする場合や、売りから入ってトレードする場合に「BID」のボタンをタップします。

当然、売りポジションを解消して、利確・損切りする場合のボタンは「ASK」の方です。​

その他に覚えておきたい用語について

これまでの最高値を「ATH」といい、売り値と買い値との差を「スプレッド」と呼びます。また、ドル/円の取り引きでの「PIPS」とは「0.01円」を表すことも覚えておきましょう。

これらの他にも「時間足」という重要な指標が存在しますが、後で詳しく解説します。

指標等の分析に関わる情報収集の方法

これら指標等の分析に関わる情報は、日々変化するものです。そのため、自分でも積極的に情報を集める努力が必要ですが、残念ながら専業トレーダーでも無い限り自分で一から調べあげるのは非常に困難です。

そこで、それぞれのFX会社の解説や有名なトレーダーのブログ記事などを参考にすることをおすすめします。

FX会社の解説については、それぞれの会社が似たような分析をしていますので、基本的にどの会社の解説でも問題ありません。一方、ブログ記事を参考にする場合は精査が必要です。なぜかというと、フォロワー数を増やすためだけに間違った内容を記載している記事も多いからです。

当然ながら投資は自己責任ですので、記事を鵜呑みにしすぎないことが大事であることは言うまでもありません。

時間足(ろうそく足)について

時間足とは、FXチャートを読み解く上で最も重要な指標であり、別名「ロウソク足」とも呼ばれています。

「時間足を制するものはFXを制する。」「FXチャートでの重要な指標のほとんどが時間足から派生したものである。」と言われるくらい、この時間足は重要なのです。

その上、この重要な指標である時間足は、きちんと理解すれば初心者でも、ある程度正確に読み解くことができます。したがって、初心者がFXを始めるにあたり、この「時間足」をすっ飛ばして突き進むことは「愚の骨頂」以外の何ものでもありません。

時間足は、それぞれの時間内での値動きをたった一本の線に集約させて表現したものです。この表現する時間の長さによって、「◯分足」「□時間足」というような様々な時間足が存在します。

この単純な一本の線である時間足ですが、その線の中には様々なメッセージが秘められているため、謙虚に読み解くことが必要です。この時間足に秘められたメッセージをうまく掴むことができずに大損を被っている人が大勢いますので、そうならないように注意しましょう。

時間足の読み取り方

時間足の読み取り方
時間足を読み解く上では、この線の基本的な4つの値をまず押さえておく必要があります。

  • 始値(期間中に最初に取り引きされた値段)
  • 終値(期間中の最後に取り引きされた値段)
  • 高値(期間中で最も高く取り引きされた値段)
  • 安値(期間中で最も安く取り引きされた値段)

終値が始値よりも高いものを「陽線」といい、一般的には赤線や白線で表示されることが多いです。反対に、終値が始値よりも低いものを「陰線」といい、一般的には青線や黒線で表示されます。

また、始値と終値で囲まれた長方形の部分を「実体」と呼び、この実体からはみ出している部分は「ヒゲ」と呼称されます。このヒゲについては、実体から上に突き出た線の部分を「上ヒゲ」といい、実体から下に突き出た線の部分を「下ヒゲ」といいます。

さらに、この時間足にはパターンというものがあり、一般的なもので以下の5つがあります。
大陽線・大陰線・小陽線・小陰線・十字線

  • 大陽線
  • 大陰線
  • 小陽線
  • 小陰線
  • 十字線

このうち、大陽線については、上昇トレンドが今後も継続する確率が高い時に出現しやすいです。

十字線については、売りと買いが拮抗している時に出現しやすく、相場の方向性が今後とも不明確になる可能性が高いです。

したがって初心者の人は、この十字線が出現した際はトレードを一旦控えてみることをおすすめします。

時間足ごとの特徴

時間足ごとの特徴
​​先ほど紹介したように、時間足は表現する時間の長さによって、「◯分足」「□時間足」のように分けられます。それぞれの時間足ごとに特徴やトレードスタイルが異なってきますので、きちんと理解しましょう。

時間足には様々な種類が存在しますが、その中でも多くのトレーダーから一般的に使われている4つの時間足についてこれから触れていきます。

1時間足

1時間足は、比較的短期での取り引きの際に用いられます。この1時間という間隔は、局所的な暴騰・暴落の影響を排除して、ある程度大局的に分析するための最小限の時間間隔だとも言われています。

初心者が始めて取り引きする際は、瞬間的な相場の動向を気にする人が多いでしょう。そのため、後述する4時間足、8時間足、日足でのトレードでは気が持たなくなる可能性もあります。

比較的気の短いトレーダーについては、この時間足でのトレードから初めてみるのもいいかもしれません。

この時間足を使ったトレードは短期間での取り引きに向いていますので、ドル/円通貨ペアでは2〜3PIPS前後に利確・損切りを入れて臨むことをおすすめします。

4時間足

4時間足は、後述する8時間足とともに、参考にするトレーダーが最も多い時間足です。したがって、FX初心者はこの2つの時間足のうちのどちらかで勝負するのが一番理にかなっていると言えます。

4時間足は、1日1回程度の取り引きを希望する人におすすめです。1日には4時間足が6本引けますので、その6本の時間足を分析することで、方向性が掴めるでしょう。

特に、陽線や陰線が3本連続で続いた場合は、次の時間足も同じ線が続く確率が高いです。逆に6本連続で陽線や陰線が続いた場合は、次は反対の線で終わることが多くなっています。

この場合、ドル/円通貨ペアでは5〜6PIPS前後に利確・損切りを入れておくことが現実的です。

8時間足

8時足は、2週間に2回~3回程度の取り引きを希望されている方におすすめです。

4時間足を使うか8時間足を使うのかは議論が別れるところですが、初心者は最終的にはこの8時間足を使ったトレードを目標にしましょう。トレードを行う際はそれなりの分析が必要不可欠であり、1日1回以上分析するのは初心者にとって負担が大きすぎると考えるからです。

1週間に1回でしたら、土日のいずれかを使って時間をかけて分析することも十分可能です。分析を行った場合の方が、トータル的に勝率が上がるのは言うまでもありません。

この場合、ドル/円通貨ペアでは10〜20PIPS前後に利確・損切りを入れておくことが現実的です。

日足(1日足)

日足(1日足)は、2週間に1回程度の取り引きを希望されている人におすすめです。

今まで紹介した中で1番分析の頻度が少ないため、初心者に一番おすすめかと思うかもしれませんが、実はそうではありません。2週間に1回の取り引きでは、テクニカル的な要素の他に、ファンダメンタル的な要素が入ってくるからです。

このファンダメンタル的な予想については初心者ではなかなか難しく、失敗する確率が多くなってしまいます。そのため、初心者でどうしてもこの日足を使ったトレードに挑戦したい場合は、日々の経済ニュースなどにも関心を持つようにする必要があります。おすすめとしては、YouTubeなどの経済動向の解説動画などを見ることです。

この場合、ドル/円通貨ペアでは30〜50PIPS前後に利確・損切りを入れておくことが現実的です。

時間足こそが初心者の武器になる理由

時間足を知ることこそが最も初心者におすすめであることは冒頭でも述べた通りですが、なぜこんなにおすすめなのかというと、最大の理由は世界中のトレーダーが最も意識してみている指標だからです。

世界中のトレーダーに時間足が意識して見られる理由は、時間足が極めて単純な構造であり理解しやすい指標となっているからで、多くの人が意識するとその意識の方向に価格が推移しやすくなるため、時間足を分析してトレードすることがおすすめなのです。

時間足のチャートを見て、その形が多くのトレーダーから「価格が上がる傾向のチャート形状である」と思われる形状であれば、値段が上がる方向に取り引きすればいいだけです。

時間足(ろうそく足)を使った実践的なトレード方法の一例

時間足(ろうそく足)を使った実践的なトレード方法の一例
それでは、時間足を使った具体的なトレード方法の一例について紹介します。

今回は「時間足のみを利用したトレード方法」と「他の指標(ボリンジャーバンド)と組み合わせたトレード方法」の2つについて、解説していきます。

あくまでも一例であるので、自分でさらに研究や勉強をしてより確実に利益を得られるようにしてください。

CASE①:時間足のみを利用したトレード方法

大陽線や大陰線が出現しているようであれば、その傾向が続く可能性が高いですので思い切ってトレードしましょう。

また、十字線の場合は前述した通り相場の方向性が定まらない状態なので、言い換えればトレンド転換する可能性も有しています。そのため、十字線が出現した後はしばらく様子を見て、トレンド転換が明確に確認できるようであれば思い切ってトレードしても構いません。

もしトレンド転換が確認できないような場合は、絶対にトレードしないようにしてください。

また、「三尊天井」という方法も覚えておきましょう。

三尊天井とは、チャートに山が3つ並んで出現するような形状で、中央の山が最も高くなっています。このチャートパターンが現れると、高い確率で強力な売りが発動し、価格が下落すると言われています。

ただし、この三尊天井は「だまし三尊」と呼ばれるように反対に値段が上がることもありますので、損切り設定をきちんとしてからエントリーするようにしましょう。

最後に「ブレイク」という方法も覚えておきましょう。

ブレイクとは、例えば「今まで1ドル110円を試してきたが、なかなか110円以上にならなかった。しかし、今回110円を超えてきた」というような状態です。

この場合は、「1ドル110円の壁を超えた」とも言われ、この壁をブレイクしたことにより相場は勢いづきます。その結果、大陽線の出現時のように上昇傾向が続く可能性が高くなります。

CASE②:ボリンジャーバンドとの組み合わせでのトレード

時間足は、ボリンジャーバンドという指標と非常に相性が良いことで知られています。

このボリンジャーバンドというものは時間足がその価格帯内に入っている確率を示します。

ボリンジャーバンドには、「σ、2σ、3σ、-σ、-2σ、-3σ」があります。

-σ~σの中に収まる確率は「68.3%」、-2σ~2σの中に収まる確率は「95.4%」、-3σ~3σの中に収まる確率は「99.7%」であると統計的に算出されています。

したがって、時間足が-3σ及び3σからはみ出すような形で存在している場合は、99.7%の確率で-3σ〜3σの範囲内に戻るということです。

-3σよりも時間足の値が低い場合は、価格が上がる方向にトレードすれば、勝利できる確率が向上します。

同様に、3σよりも時間足の値が高い場合は、価格が下がる方向にトレードして見てください。

ただし、残念ながら時間足が3σや-3σからはみ出しているような状態はなかなか生起しないので、根気よく待つ必要があります。そのため、現実的には2σや-2σを使ってトレードする方が現実的かもしれません。

この場合は、時間足が-2σ及び2σからはみ出すような形で存在している場合は、95.4%の確率で-2σ〜2σの範囲内に戻るということになります。当然、-3σと3σの時よりは精度は落ちますが、そのぶん出現する回数は多いです。

-2σや2σではどうしても精度の面で不安だと思う人は、前に述べた「大陽線」「大陰線」「十字線」「ブレイク」「三尊天井」などとも総合して判断することで、精度向上を図ることができるでしょう。

まとめ

①FX初心者には、資金管理をまずしっかりと行う
②FX初心者にはドル/円の通貨ペアがおすすめ
③取引形態については、生活様式にあわせて、1日にトレードできる回数を算出等した上で決定しよう
④FX初心者はチャートに関する基本情報を把握しておこう
⑤時間足は初心者にとって強力な武器になり得る